小笠原諸島は、ユネスコの世界自然遺産に登録され、貴重な自然を守るため、独自のルールを作り、樹木の伐採や土石の採取、指定動植物の捕獲・採取などを禁止しています。特に保護の必要がある地域は、「森林系保護地域」に認定されており、講習を受けたガイドの同行がないと入ることができないトレッキングコースがいくつかあります。
目次
ガイド必須!父島のトレッキングコース
父島のトレッキングコース①南島
小笠原のポスターの表紙にもなっている南島は、その植生保護のため、ガイドなしの立ち入りが禁止されています。1日の入島者も100人まで、さらに11月初め~2月初めが入島禁止期間中と決められています。年末年始は例外的に入島が認められていますが、冬は海が荒れることが多いため、なかなか上陸できません。夏の方が海の色も綺麗ですし、おすすめです。南島の絶景スポット「扇池」は死ぬまでにはぜひみてほしいポイントです。
父島のトレッキングコース②東平サンクチュアリ
東平サンクチュアリは、絶滅危惧種のアカガシラカラスバトの保護のために整備された地区で、桑ノ木山国有林、中央山東平がこの地域に含まれています。アカガシラバトの繁殖期である11~3月は入山が禁止されています。
東平サンクチュアリは、自然観察路と林内歩道の二つのルートがあり、自然観察路は、森林生態系保護地域の講習を受けた人か、ガイドの同行が必要です。林内歩道は、よりアカガシラカラスバトの生態地域に近づくので、森林生態系保護地域の講習を受け、さらに東平サンクチュアリの特別な講習を受け、許可を得たガイドの同行が必要になります。
ガイド必須!母島のトレッキングコース
母島は、父島以上に自然が残されている島で、父島では絶滅してしまった固有種のカタツムリも見つけることができます。
母島には、ほかにも南崎や乳房山など歩きやすくて見ごたえのあるコースもありますので、当日のコンディションとご自身の体力に合ったコースを選んでみましょう。
ガイドさんや母島観光協会などに相談するのもいいでしょう。
母島のトレッキングコース①堺ヶ岳
石門に行くまでのルートにある堺ヶ岳は、石門が3〜11月までしか入れないのに対して通年入ることができます。堺ヶ岳までのルートでも母島特有の原生林を感じることができます。
母島のトレッキングコース②石門
母島でガイド付きコースを申し込むのであれば、石門がおすすめです。石門は、ガイドなしでは入れない地域で、「原生に近い豊かな自然が残っている」場所です。石門は、国立公園の特別保護地域、林野庁の森林生態系保護地域、東京都と小笠原村で定める自然環境保全推進地域に指定されるなど多角的に保全されており、世界自然遺産に登録された貴重な自然を目の当たりにすることができます。
石門では、自主ルールでガイド1人当たりの利用者は5名まで、利用期間は”希少なアカガシラカラスバトの繁殖を妨げないように”、10月~2月まで入山禁止期間です。
人一人がやっと通れるような幅の道で根っこを超えたり、ロープをつかんで上り下りしたり、倒れている木をくぐったりと、アドベンチャー感あふれるルートです。普段から山登りなどをされている健脚向けのコースになります。
土が流れてしまったり、斜面や段差が急だったりと、危険な箇所は入山禁止期間中に多くの人たちの手によって「近自然工法」という方法で整備されています。この工法は、現場にある材料で地形に合わせて自然になじむように施工する方法で、補修した後も目立ちません。さて、実際に歩いてみて何箇所気づくことができるでしょうか?

小笠原は父島も母島も火山でできた島なので大部分が火山岩でできているのですが、石門は母島が形作られた約4400万年前より後の3850万年~3380万年以降にできた一番新しい地層です。海底が隆起して陸地となり、海中でできたサンゴ礁由来の石灰岩でできています。この石灰岩が雨水などによって長年浸食されてできたギザギザに尖った地形を「ラピエ」といい、父島のすぐそばにある南島にも同じ地形が見られます。

カルスト性の地質であるということと、一度も大陸と繋がったことのない海洋性の島であること、そして3000万年以上前にできた島という歴史の長い島であることから、ここにしか生えていない植物がいくつかあり、固有種のカタツムリもたくさん生息しています。
- オガサワラオカモノアラガイ

天敵のいない母島の環境で、進化の過程で殻を退化させたカタツムリです。
- テンスジオカモノアラガイ

- 「セキモンノキ」

目立つ木ではないので、ガイドさんに教えてもらわないと見逃してしまいます。3月~4月ごろ小さな丸い花をつけます。
- 「セキモンウライソウ」

「ウライ」は台湾北部の烏來(ウーライ)に由来しています。これは石灰岩地にだけ生えるちょっと変わった植物です。

ちなみに、石門の名前の由来である上の写真の地形は、石門ルート内では見れませんし、ははじま丸からも見れません…残念。
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