ユネスコ自然遺産のある離島まとめ

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離島は、都心から離れ、豊かな自然を残しているところが多いですが、その中でも独特の生態系や世界的にも珍しい地形を残している離島は、ユネスコの自然遺産に登録され、保護されています。

目次

自然遺産のある離島①ヘンダーソン島(イギリス)
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南太平洋のポリネシア東端に浮かぶイギリス領ピトケアン諸島に属し、環状サンゴ礁の無人島です。1606年にスペイン人航海士デ・キロスがヨーロッパ人として初めて上陸しましたが、18世紀以降は無人島となっており、独自の生態系が残っています。陸上に哺乳類は生息しておらず、被子植物の内51種中10種が固有種で、陸鳥4種(ヘンダーソン・クイナ、ムネムラサキインコ、ヘンダーソン・フルーツハト、ヘンダーソン・ウグイス)も全てが固有種です。

自然遺産のある離島②ゴフ島・インアクセシブル島(イギリス)
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南大西洋上に浮かぶゴフ島とその北西に浮かぶインアクセシブル島は、固有の生態系が残っています。

ゴフ島は、2億年以上前の火山活動で誕生し、1731年に立ち寄ったイギリス人のゴフ船長に由来する。亜寒帯の海洋性気候で風が強く、年間降水量は3400mmにも達し、アホウドリなどの海鳥が集団営巣し、世界最大級の集団生息地を形成しています。ゴフ島は、クイナ科のガリンニュールとゴフ・ロウェティの2種の陸鳥のほか、12種の植物の固有種がいます。

インアクセシブル島には、10種以上の無脊椎動物の固有種が生息しています。

自然遺産のある離島③レユニオン島(フランス)
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インド洋の南西に浮かぶレユニオン島は、レユニオン島の最高峰(標高3,070m)の死火山ピトン・デ・ネージュ(le piton des Neiges)と現在地球で最も活発に活動している火山の一つである標高2,631mのピトン・ドゥ・ラ・フルネーズ(le piton de la Fournaise)の二つの火山山塊と、ピトン・デ・ネージュが生み出した3つの圏谷(マファト、サラジー、シラオス)から形成されます。レユニオン島の40%に当たる範囲に広がる亜熱帯雨林や雲霧林、常緑低木などの固有の植物の複雑で特徴のある景観を評価され、「レユニオン島-火山峰、圏谷と岩壁群」として世界遺産に登録されています。

自然遺産のある離島④マデイラ諸島(ポルトガル)

リスボンの南西約1000kmの大西洋上にあるマデイラ島の照葉樹林は、約6500万〜170万年という氷河期以前の太古の姿を残した森林地帯です。「大西洋の真珠」と呼ばれるほど景観が美しく、リゾート地になっています。マデイラ島中央部は、標高約1,800mのピコルイヴォ山が最高峰で、平均標高600〜1300mの山岳部になっており、島が形成された第三紀の植物分布を残した極めて貴重な地域です。約200k㎡に及ぶ自然保護区のうち、約150k㎡が「マデイラ諸島のラウリシルヴァ(照葉樹林)」として世界遺産に登録されており、カタツムリをはじめとして500種以上の無脊椎動物や66種の維管束植物など島固有の動植物が多数生息、生育しています。

マデイラ・ワインやマデイラ産のサトウキビを使ったラムが名産品として有名です。

自然遺産のある離島⑤エオーリオ諸島(イタリア)
ストロンボリ島(https://www.instagram.com/p/B5aYa4rArmC/)

イタリア南部のティレニア海に浮かぶエオーリエ諸島は、更新生(258万年〜1万年前)に活動を始め、3回の火山活動期にヴルカーノ島やストロンボリ島、諸島の中で最も大きなリーパリ島、サリーナ島、パナレーア島、フィリクーディ島、アリクーディ島の7つの島と5つの小島からなる火山島群を形成しました。エオーリエ諸島の名前は、ギリシャ神話に登場する風の神アイオロス(イタリア語でエオーロ)がこの島々に住んでいたという神話からきています。ストロンボリ島は、ジュール・ヴェルヌが小説『地底旅行』で地底からの脱出口があった場所として知られ、「地中海の灯台」とも呼ばれています。

ヴルカーノ島(https://www.instagram.com/p/BmOYmdPlAsF/)

現在でも火山活動を続けており、単発で大規模な噴火をするヴルカーノ島は「ヴルカーノ式」、周期的にマグマを噴出するストロンボリ島は「ストロンボリ式」と学術用語にもなっています。

自然遺産のある離島ニュージーランドの亜南極諸島(ニュージーランド) 

ニュージーランドの南東部にある亜南極諸島(スネアズ諸島、バウンティ諸島、アンティポデス諸島、オークランド諸島、キャンベル諸島など)を構成する約764k㎡の範囲が世界遺産として登録されています。

これらの島々の近海は寒流と暖流の合流点で、プランクトンが大量に発生するため、多くの魚類が集まり、それを狙う鳥類の繁殖地となっています。固有の鳥類も4種確認されており、絶滅危惧種のニュージーランドアシカの95%は亜南極諸島に生息しています。

自然遺産のある離島⑦ジャワ島(インドネシア)

ジャワ島西端のウジュン・クロン半島とスンダ海峡に浮かぶ島々からなる「ウジュン・クロン国立公園」は、1883年に近隣のクラカタウ火山が噴火し、3万人以上が亡くなり、広範囲が火山灰に埋もれました。現在では熱帯雨林も海岸のマングローブも復活しています。絶滅の危機にあるジャワサイやバンテンなどが生息しており、インドネシア初の国立公園に指定されています。

自然遺産のある離島⑧コモド島(インドネシア)
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コモド国立公園」は、インドネシアの南東部にあり、コモド島、フロレス島などの小スンダ列島の島々で構成されており、皮を目的とした乱獲により危急種になってしまったコモドオオトカゲが生息しています。体長2〜3m、体重100kgを超える個体もおり、世界最大のトカゲと言われています。

自然遺産のある離島⑨ニューギニア島(インドネシア)
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ニューギニア島西部にあるスディルマン山脈のジャヤ山一帯を含む「ロレンツ国立公園」は、東南アジア最大の面積の自然公園です。25000k㎡もの敷地があり、イリアンジャヤ州の山岳地帯からアラフラ海にまで至る全長150kmを越すエリアに跨っています。

万年雪を頂く山々から広大な低湿地帯、熱帯海洋地区までさまざまな環境を含み、手付かずの豊かな自然が残されています。二つの大陸プレートの衝突点にあたり、現在も造山活動の最中にあります。

キノボリカンガルーやハリモグラなど100種類以上の哺乳類や400種類以上の鳥類も確認されており、9つの先住民の部族が居住しています。

自然遺産のある離島⑩スマトラ島(インドネシア)

グヌン・ルセル国立公園、ケリンチ・セブラ国立公園、ブキット・バリサン・セラタン国立公園の3つの国立公園にまたがり、「スマトラの熱帯雨林遺産」 として世界遺産に登録されています。

17種の固有種を含む1万種の植物、15種の固有種を含む哺乳類、21種の固有種を含む580種の鳥類が生息しており、スマトラオランウータンなどの絶滅危惧種も確認されています。2011年、密猟などのために危機遺産に登録されました。

自然遺産のある離島⑪済州島(韓国)

韓国の最南端にあるチェジュ島は、火山活動で生まれた滝や奇岩、火山湖の優れた景観美が特徴的で、「済州火山島と溶岩洞窟群」として世界遺産に登録されています。韓国の最高峰である標高1950mの漢拏山(ハルラサン)を中心とした漢拏山自然保護区と、海底噴火により誕生し山頂に大きな噴火口が残る城山日出峰(ソンサンイルチュルポン)、約30万〜10万年前の噴火によって生まれ世界で最も長く複雑な溶岩洞窟である拒文岳(コムンオルム)溶岩洞窟群の3つの地域も含まれています。

自然遺産のある離島⑫パラワン島(フィリピン)

フィリピン南西部のパラワン島にあるプエルト・プリンセサの市街地から約80km北の西海岸に位置する総面積202k㎡の国立公園一体が「プエルト・プリンセサ地下河川国立公園」として世界遺産に登録されました。石灰岩カルスト地形が広がる園内の地下には、全長8.2kmの世界最長の地下河川が洞窟から海へと流れています。パラワンヤマアラシやジュゴンなどの希少動物の生息地でもあります。

自然遺産のある離島⑬ミンダナオ島(フィリピン)

ミンダナオ島のプジャダ半島を南北に走るハミギタン山地に設定された保護区である「ハミギタン山地野生生物保護区」には、標高差と高温多湿な環境によって、多様な生物が生息しており、多数の絶滅危惧種も抱えています。

ネペンテス・ハミグイタネンシス

計1380種の野生生物が生息しており、うち341種がフィリピンの固有種でここでしか確認できない生物が8種います。日本人が発見したカザリシロチョウの唯一の生息地でもあります。

自然遺産のある離島⑭マルペロ島(コロンビア)
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コロンビア西部の海岸から約500km沖合に浮かぶマルペロ島とその周辺海域からなる「マルペロ動植物相保護区」は、カリフォルニア海流、北赤道海流、赤道反流など多くの海流の影響とマルペロ海底山脈の変化に富んだ地形により複雑な生態系が形成されており、東太平洋の熱帯地域で最大の禁漁区です。

深水域は、大型捕食魚や遠洋性硬骨魚に適した環境で、シュモクザメやクロトガリザメ、ジンベイザメなどが生息しています。また、陸地ではアオツラカツオドリが4万羽以上のコロニーを作っています。

自然遺産のある離島⑮ロード・ハウ諸島(オーストラリア)
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大小28の島からなる「ロードハウ群島」は、海底火山が隆起して約700万年前に誕生した群島で、島々の中で一番大きなロードハウ島には、南部にガウア山とリッジバード山がそびえ、南西部の沿岸部には世界最南端とされるサンゴ礁が広がっています。

唯一生息する哺乳類はコウモリで、飛べない鳥であるロードハウクイナ、ロードハウナナフシなど固有の動植物も多いです。

自然遺産のある離島⑯フレーザー島(オーストラリア)

オーストラリアの東海岸に浮かぶフレーザー島は、世界最大の砂の島で、約80万年前からオーストラリア大陸の東部にあるグレート・ディヴァイディング山脈で風化によって削られた砂が堆積してできました。やがて砂丘が鳥たちの安息所となり、鳥の糞から種子が芽を出し、安定した大地が形成されていきました。

1万9000年前にオーストラリアの先住民バジャラがこの地に定住し、1863年にエリザ・フレーザーという女性がこの島に難破したことからヨーロッパ人に知られました。

難破船マヘノ号(Maheno

1842年に冒険家アンドルー・ピートリがフレーザー島を探検し、マングローブやユーカリ、ナンヨウスギなどの木材の資源が豊かであることを発表し、樹木伐採を目的とする集団が大挙して押しかけ、製鉄所や鉄道などが建設されていったことにより、荒廃していきました。

1972年に環境保護団体がこの島の北部1/3を保護課に置き、伐採を進める企業と交渉を進めた結果、現在では絶滅が危惧されていた両生類12種などが生息する地になっています。純血のディンゴの生息地としても知られています。また、地下には大量の淡水が溜まっており、世界で最も透明度が高い湖の一つであるマッケンジー湖など40以上の淡水湖が点在しています。

自然遺産のある離島⑰ハード島とマクドナルド諸島(オーストラリア)

南極大陸から約1700kmの海洋に浮かぶハード島は、標高2745mのマウソン山がそびえ、亜南極圏唯一の活火山島です。島全体が氷河に閉ざされているため、生育する植物は、数種の草やコケ類のみです。ハード島とマクドナルド諸島には原始のままの生態系が残されており、アザラシなどの海生哺乳類、ペンギンやアホウドリなどの海鳥が繁殖を続けています。特にペンギンは、中型のマカロニペンギンと、全長90cm以上にも達する大型のキングペンギンで、それぞれ200万羽を超える繁殖数を誇っています。

自然遺産のある離島⑱マッコーリー島(オーストラリア)
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オーストラリア大陸と南極大陸のほぼ中間点にあり、インド・オーストラリアプレートと太平洋プレートの衝突で隆起して誕生したと考えられており、地球表面の大きな変動はプレートの境界で起こるとする説「プレートテクトニクス」を証明しています。また、地球内部の地殻と核との間の層であるマントルが噴出した玄武岩が海面から露出している部分もあります。

無人島であり、オットセイなどの海生哺乳類や4種類のペンギン、固有種のロイヤルペンギンなどが生息しています。

自然遺産のある離島⑲カントン島(キリバス)

フェニックス諸島は、キリバスに属する3つの諸島の一つで、海生サンゴに囲まれ、海洋保護地域としては世界最大規模を誇っています。保護地域の海底には、14の死火山があり、多くの深海生物が生息しており、海生サンゴが形成する地球最後とも言える手付かずの生態系が保護されています。陸地から遠く離れているため、200種類近いサンゴ類を始め、約500種の魚類、18種の海生哺乳類、44種の鳥類を含む800種類もの動物相を見ることができ、鳥や魚の移動ルートを掴むためにも重要な海域で、「フェニックス諸島保護地域」として世界遺産に登録されています。

自然遺産のある離島⑲レンネル島(ソロモン諸島) 

ソロモン諸島の最南端に位置する環状のサンゴ礁が隆起してできたレンネル島の東部の「東レンネル」には、島の面積の1/5を占める汽水湖のテガノ湖があり、固有の生物が多数生息しています。

レンネルオウギビタキ © Lars Petersson
eBird S65189253Macaulay Library ML205905271

自然遺産のある離島⑳ココス島(コスタリカ)

コスタリカの南西部に浮かぶ「ココス島国立公園」は、絶海の孤島ココス島と周辺海域からなる自然保護区で、マグロなどの大型周遊魚やハンマーヘッドシャークなどの軟骨魚類が群れをなし、固有の動植物が多く見られます。『ジュラシックパーク』やスティーブンソンの小説『宝島』の舞台として知られていて、実際に海賊たちが飲み水を求めて上陸したと言われています。かつては世界最大の無人島でしたが、今は公園の管理人が住み、自然保護に当たっています。

自然遺産のある離島㉑セントルシア島(セントルシア)

セントルシア島は、東カリブ海に浮かぶ島で元々はイギリス領でしたが、1979年に独立しました。セントルシア島の南西部にある「ピトンズ・マネジメント・エリア」は、標高777mの大ピトンと標高743mの小ピトンの二つの火山と周辺海域からなる自然保護区です。陸上は亜熱帯湿潤林と亜熱帯乾燥林に覆われ、希少な樹木や固有種の鳥類、齧歯類などが生息しています。

自然遺産のある離島㉒ドミニカ島(ドミニカ)
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モルヌ・トロワ・ピトン国立公園」は、カリブ海・小アンティル諸島に浮かぶ島国ドミニカ国の首都ロゾーにある国立公園です。ドミニカ島の南部にある標高1,342mのトロワ・ピトン山を含む5つの火山があり、約50近くの噴気孔と温泉湖や熱帯雨林、透明度が高く神秘的な湖など、豊かな自然が残っています。

アマゾニア・インペリスとレッド・ネックトの2種類の絶滅が危惧されているオウムなど175種の鳥類、そして世界最大のカブトムシであるヘラクレスオオカブトムシなどの昆虫も数多く生息してます。

自然遺産のある離島㉓レビジャヒヘド諸島(メキシコ)
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レビジャヒヘド諸島は、サンベネディクト島、ソコロ島、ロカ・パルディーダ島、クラリオン島の4つの火山島からなり、メキシコのバハカリフォルニア半島南端にあるサンルカス岬の南西386kmに位置し、東西250kmに渡っています。ソコロ島とクラリオン島にはメキシコ海軍の基地がありますが、他は無人島です

サメやオニイトマキエイ、イルカ、ザトウクジラや魚、渡鳥にとって重要な地域で、北米の熱帯地域で最も自然が残された場所として「レビジャヒヘド国立公園」は、世界遺産に登録されています。

自然遺産のある離島㉔ガラパゴス諸島(エクアドル)

大小19の島と周辺の岩礁からなる火山群島であるガラパゴス諸島は、同じ種でも生息する島ごとに特徴を持つ亜種であることに気づいたチャールズ・ダーウィンが「共通の祖先を持っていても、環境により進化の方向性を変える」という進化論の着想を得た島として有名です。

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中でも「ダーウィン・フィンチ」と呼ばれる嘴の太さや長さ、形状が異なる13種のフィンチが有名です。

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ガラパゴス諸島には、植物約900種、爬虫類約20種、鳥類約60種、昆虫約1000種が生息しており、周辺の海域にはパナマ海流やペルー海流が流れ込み、豊富な種類の魚介類や海洋生物が生息し、島の環境に合わせて独自に進化を遂げています。天敵とされる大型の肉食哺乳類が存在しなかったことがその進化を助けたと考えられています。

自然遺産のある離島㉕フェルナンド・デ・ノローニャ島(ブラジル)

ブラジル東部の大西洋沖にある「ブラジルの大西洋諸島:フェルナンド・デ・ノローニャとロカス環礁保護区群」は、暖かい海水と複雑な海底地形がプランクトンを大量発生させ、海鳥や多くの魚類、ウミガメ、海生哺乳類の繁殖地となっています。

火山島を含めた約21の群島と環礁、周辺約100k㎡の海域からなり、一番大きなフェルナンド・デ・ノローニャ島を中心とする島々は、海底山脈の頂上になっています。イルカの密度は世界屈指で、干潮時はロカス環礁のラグーンが美しい景観を作り上げています。

自然遺産のある離島㉖ヘーガ・クステン/クヴァルケン群島(スウェーデン/フィンランド)

スウェーデン東部のボスニア湾沿岸にあるヘーガ・クステンとクヴァルケン群島一帯は、約9600年前の最終氷河期末期から現在まで土地の隆起が続いており、世界でも珍しい地域です。「ヘーガ・クステン」とは、「ハイ・コースト」つまり高層海岸という意味です。

土地の隆起は、氷河期が終わって氷床が溶けたことにより、それまで氷の重さで沈んでいたマントル(地殻)が反発して盛り上がるアイソスタシーと呼ばれる現象によるものです。これまで約300mも隆起した土地があり、1年間に平均8〜10mmの速さで隆起し続けています。

自然遺産のある離島㉗スルツェイ火山島(アイスランド)

アイスランドの南32kmに浮かぶスルツェイ島は、1963年と1967年の噴火で突如誕生した世界で最も新しい島の一つで、北欧神話の炎の巨人「スルト」にちなんでスルツェイ島と命名されました。ベストマン諸島最大のヘイマエイ島の南西沖20キロに位置し、誕生してから人の立ち入りを制限しているため、生態系を含む自然環境がどのように変化していくのかの変遷を知ることができます。

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1963年11月14日、火山噴火を示す最初の兆候があらわれ、周辺海域の海水温の変化、噴煙、硫化水素臭のすべてが観察されました。実際にはその数日前、すでに噴火は水深130メートルの海底で始まっていました。噴火は地殻の亀裂に沿って起こり、海上に噴き上がった粉塵や灰の柱は数キロの高さに達し、1 週間で新島が形成され、新島誕生と同時に海による浸食が始まりましたが、噴火は収まらず、島の面積は広がりつづけ、1964年前半には最大直径1300メートルあまりに達しました。1967年6 月に噴火が収束するころには、スルツェイ島は2.7k㎡まで成長し、その約2/3 は火山灰、1/3が急激に冷えて固まった溶岩で形成されています。

スルツェイ島の海域でのダイビングはもとより、その自然特性を阻害することや、一切の有機物や土、鉱物の島への持ち込み、廃棄物の投棄も認められておらず、また、沿岸から2 キロ以内での銃器の使用も禁止されています。人間の居場所として許されているのは、研究者たちの滞在用に設置された、簡素なプレハブ小屋1棟だけです。

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1964年から研究が開始され、翌年に発見された維管束植物が10年後には10種に増えたことが確認されました。1970年ごろから海鳥が島に群れを作るようになり、その大量の糞が堆積することによって、島の痩せた土壌が急速に改善されていきました。フルマカモメとハジロウミバトが最初にすみついた鳥類(留鳥)で、1983年にはアザラシもスルツェイ島で繁殖を始めたのが確認されました。以後2004年までに維管束植物60種、苔植物類75種、菌類24種と着実に植物や菌類が増え、鳥類89種、無脊椎動物335種が生息しています。

自然遺産のある離島㉘ゴメラ島(スペイン)
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イベリア半島から南西に約1000kmの大西洋上に浮かぶカナリア諸島ゴメラ島にある「ガラホナイ国立公園」は、湿潤な海風によって発生した霧によって約6500万〜200万年前と似た環境が保たれ続けてきた稀有な火山島です。アメリカ大陸を目指したコロンブスが西進最後の補給を行った島でもあります。

標高1487mのガラホナイ山を中心とした霧の島は、1年を通じて気候が一定であり、500万〜170万年前と同じ種類のゲッケイジュ林が密生しています。大陸からも離れているため、照葉樹やシダ類を始めとする公園内の植物相の約7割が固有種となっています。

自然遺産のある離島㉙ニューカレドニア(フランス)

南太平洋のフランス領ニューカレドニアの広大なサンゴ礁は、オーストラリアのグレートバリアリーフに次ぐ長さを誇り、6つの海域で構成され、146種類のサンゴや多数の魚類、ウミガメなどが生息し、ジュゴンの生息数は世界第3位になっています。また、サンゴの化石も発見されており、南太平洋の歴史を知る上でも重要な資料となっており、「ニューカレドニアの珊瑚礁:環礁の多様性と関連する生態系」として世界遺産に登録されています。

自然遺産のある離島㉚ウランゲリ島(ロシア)

ランゲル島は、ランゲル島を最初に発見したフェルディナント・フォン・ウランゲル氏にちなんで名付けられました。北極海、東シベリア海とチュクチ海との間にあるロシア領の島で、ランゲル島、ヘラルド島および周辺12海里の海域が、「ランゲル島保護区の自然生態系」として2004年に世界遺産に登録されました。

北極圏に位置しており、5万年前までは大陸と繋がっていましたが、海抜が上昇したことによって離島となりました。気候は1年を通したツンドラ気候で、冬になると周辺の海域は厚い氷が張って凍結しますが、ランゲル島は氷河期に凍結しなかったことから、ウランゲリ島独自の生態系が生まれたと考えられています。マンモスも生息していたことがわかっています。

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この地域は、アザラシやレミング、ホッキョクグマの繁殖地となっており、また、アジアおよび北アメリカの渡り鳥が繁殖する最北の地であり、『ハリーポッター』シリーズで人気になったシロフクロウもここで繁殖します。また周辺海域は、メキシコ合衆国の世界遺産である「エル・ビスカイノのクジラ保護区」から回遊してくるコククジラの繁殖地となっています。

自然遺産のある離島㉛ハワイ(アメリカ)
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ハワイ火山国立公園」には、固まった溶岩でできた黒光りする荒野や轟音と共に吹き上がる硫黄の蒸気、溶岩が横切った跡に飛び地のように残された森など、火山地帯ならではの光景が広がっています。園内にあるマウナ・ロア山は、海底部分にまで裾野が広がる世界最大の活火山になっています。また、その東にある標高約1200mのキラウエア山は、世界で最も活発な火山と言われています。

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標高による温度差や降水量の違いなどにより、植物の生態が熱帯雨林や砂漠、高山帯のツンドラなど20種類以上にわたるのも特徴で、ハワイ固有の動植物も見られます。

自然遺産のある離島㉜コイバ島(パナマ)

パナマ南西部にあるコイバ国立公園は、チリキ湾にあるコイバ島と38の小島およびその周辺海域を保護している海洋公園で、エルニーニョ現象による冷風の及ばない湾内に位置していることから、独特の生態系が形成されており、本土から切り離されてから2万年も経っていないのにも関わらずホエザルやオジロジカの亜種など21種の固有種が生息し、新種も誕生しつつあり、「コイバ国立公園と海洋特別保護区」として世界遺産に登録されています。パナマの他の地域で絶滅したヒメオウギワシなどの希少種も生息しています。

ヒメオウギワシ
自然遺産のある離島㉝ボルネオ島(カリマンタン島)(マレーシア)

①「キナバル自然公園

ボルネオ島北部にある「キナバル自然公園」には、マレーシア最高峰の標高4095.2mのキナバル山がそびえ、低地熱帯林から高地熱帯林、亜高山帯など高度差によって様々な環境が広がり、5000種を超える植物が生育しています。固有種を含め1000種のランがあり、世界最大(高さ60cm)の苔であるドーソニアや世界最大の花ラフレシア、そして絶滅の危機に瀕している哺乳類や鳥類、両生類も多く生息しています。キナバルの語源は、カダザン語のアキ・ナバル(先祖の霊が宿る山)がなまってキナバルになったという説が有力です。

キナバル山登山は、麓のコタ・キナバルを出発し、3,300m付近の山小屋に1泊。翌日早朝に登頂してご来光を拝み、その日の内に下山する1泊2日の登山ツアーが一般的です。高度は高いが技術的に難しい所は無く、入山届提出、入山料の支払いおよびガイドの随行が義務化されいます。また、下山時に公園事務所で登頂認定書を有料で発行してもらうことができます。

②「グヌン・ムル国立公園

標高2371mのムル山を中心とするボルネオ島北部の熱帯域に位置するカルスト地域です。約3500種の維管束植物が生育し、ヤシは100種類を超えます。81種類の哺乳類、272種類の鳥類など多様な動植物が生育し、総延長295kmにわたる洞窟があり、世界で最も洞窟が多い山と言われています。中でもサラワク洞窟は世界最大と言われ、大量のコウモリが暮らしています。

自然遺産のある離島㉞ソコトラ諸島(イエメン)
HOTOGRAPH BY MARTIN EDSTROM, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE

インド洋の北西アデン湾に近い「ソコトラ諸島」の一帯は、樹脂が赤く薬品や染料として重宝されたリュウケツジュや乳香の木など固有の植物が多く、この地に生息する825種の植物のうち、37%にあたる307種が固有種で、爬虫類の90%、カタツムリの仲間の95%はここでしか見られない希少種です。サンゴや魚類も多様で、サンゴは253種、沿岸魚は730種、カニやエビは300種にも及ぶ種類が確認されています。「インド洋のガラパゴス」と呼ばれることもあります。

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