ユネスコの複合遺産のある離島まとめ

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ユネスコの世界遺産には、自然遺産と文化遺産、そして自然遺産と文化遺産の要素を合わせ持つ複合遺産の三つがあります。豊かな自然を残し、人類の遺産としても重要な意味を持つ貴重な複合遺産に登録されている5つの離島を紹介します。

目次

複合遺産のある離島①セント・キルダ諸島(イギリス)
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セント・キルダ諸島は、スコットランドの北西約180kmの北大西洋上にあり、約6000万年前の火山活動で生まれた島です。島々は、海鳥の繁殖地になっており、ニシツノメドリやシロカツオドリ、フルマカモメなど約100万羽が営巣しています。固有の植物も約130種見ることができます。

諸島内最大のヒルタ島では、2000年以上前の巨石遺跡も発見されており、古代から人が暮らしていたことがわかっていますが、1930年に島民が本土に移住してからは無人島になっています。

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群島全体が世界遺産であり、年間上陸数を制限されています。

複合遺産のある離島②パラオ諸島(パラオ)

パラオのコロール州に点在する445の島々で構成されるロックアイランド(群)の一部と、およびそれらが位置するパラオ諸島を囲むラグーンの南部海域が「ロックアイランド群と南ラグーン」として2007年に世界遺産に登録されました。

地域としてのロックアイランドは、北のコロール島から南のペリリュー島までの間に点在する島々を指しますが、世界遺産登録範囲には、ペリリュー島は含まれておらず、その少し北のゲロン島 (Ngerchong) やガムリス島 (Ngemelis) 辺りまでです。

登録された範囲のほとんどが海で、中でもマリンレイクと呼ばれる世界でも類を見ない汽水湖の一種が52も密集しており、これは世界のマリンレイクのうち、約4分の1に当たります。さらに、これらのマリンレイクは、中新世時代に形成され始めたと考えられており、異なる地学的・生態学的発展段階に属しています。コロール島の南に位置し、固有名詞となっている「マリンレイク」や、マカラカル島の「ジェリーフィッシュレイク」が有名です。

マッシュルーム状の緑の島々や紺碧の海が織りなす自然美あふれるこの地域では、パラオで絶滅が危惧されている魚やサンゴ、そしてパラオでしか見られない固有種が生息しています。

また、気候変動や人口増加による資源の枯渇に直面し、他の島に移住していった人類の足跡が残る考古遺跡なども評価されました。

ウーロン島の北西岸には、一連の遺跡の中で最古の約2,000〜3,000年前の岩絵が残されており、また、ウーロン島南西岸には950〜1600年頃までの定住の跡が残る石造りの村落の遺跡などが残っています。ガムリス島にも石造りの村落の遺跡や650〜1000年および1250〜1450年のものと考えられる岩陰遺跡などが残っています。ウルクタープル島には1530〜1730年頃の石造りの集落のほか、世界で最も大きな通貨と言われているヤップ石貨の切り出し場や作りかけの石貨、岩絵を含む多様な遺跡が残されており、その近隣の島々のひとつにも、石造りの集落や石貨の切り出し場と思われる遺跡が残っています。また、近隣の別の島には、紀元前200年〜後900年まで1,000年以上にわたって埋葬場所に使われていた洞窟があり、葬礼文化と結びつく様々な工芸品なども出土しています。

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複合遺産のある離島③イビサ島(スペイン)
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イビサ島は、フェニキア人によって築かれ、海上貿易の拠点となった島です。現在では、EDM音楽の聖地としてパーティーの島と呼ばれ、リゾート地になっています。

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島の南部にサ・カレタの集落跡や「風車の丘」を意味するプッチ・フダス・ムリンスと呼ばれる墓地は、紀元前8〜前7世紀のフェニキア人の遺跡です。

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また、「上の街(ダルト・ビラ)」と呼ばれる旧市街には、迷路のように入り組んだ街路を持つアラブ風の街並みや初期の城壁が残されています。

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生物学的にも重要で、近海には固有種である海草ポシドニア・オセアニカが見られ、この植物の存在により、モンクアザラシを初め、地中海でも指折りの豊な海洋生物の生態系が成立しており、「イビサ島の生物多様性と歴史地区」として、1999年に登録されました。

複合遺産のある離島④パパハナウモクアケア(アメリカ)

パパハナウモクアケア」は、ハワイ諸島の北西250〜1931kmという広大な線状の範囲に連なる小島と環礁の集合体です。ハワイ語を組み合わせた造語で、「パパ」は母である大地とサンゴ礁を意味し、「ハナウ」は出産を意味し、「モク」は島を意味し、そして「アケア」は父である天の神と広いということを意味しています。この一帯は、ハワイの先住民が代々受け継いできた環境で、自然と人間の共生を示しています。先住民は、一帯を生命発祥の地かつ、死後には魂が帰る故郷と考えています。

ニホアマクマナマナという二つの島には、考古学的に重要な西欧化以前の定住跡が残り、大海原、海底火山、そしてサンゴ礁を含む浅瀬といった周辺の環境に対応して生活が営まれています。一帯は世界最大級の海洋保護区で、 レイサン島(カモレ)には世界中にいる1300頭のハワイモンクアザラシのうち250頭が生息し、フレンチフリゲート瀬(ラロ)ではハワイのアオウミガメ(ホヌ)はここで繁殖するなど、多様な生態系が見られます。

ビーチには、大量のゴミが流れ着いてしまっており、環境問題になっています。

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複合遺産のある離島⑤タスマニア島(オーストラリア)

オーストラリア大陸の南に浮かぶタスマニア島では、太古の姿を保った植物や独自の進化を遂げた動物が生息しています。

中でも、5つの国立公園が連なる島南西部の総面積13,836k㎡のエリアが「タスマニア原生地帯」として世界遺産に登録されています。

氷河期には、氷河の流動によって大地が侵食され、平坦な山頂や荒々しい斜面、多数の湖が誕生しました。氷河地形と呼ばれるこれらの形状は、クレイドル・マウンテン-セント・クレア湖国立公園一帯に多く見られ、中でもセント・クレア湖の水深167mはオーストラリア最深です。

タスマニア島は、かつてゴンドワナ大陸の一部で、オーストラリアと陸続きだったと考えられています。かつてこの島では先住民のタスマニア・アボリジニが暮らし、19世紀まで石器時代と同様の狩猟採取生活を営んでいましたが、イギリス人が入植してきたことで居住地を追われ、1867年にトゥルガニニという老人が死去し、純血のタスマニア・アボリジニの血は途絶えました。

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1万年以上前にタスマニア・アボリジニによってステンシルという技法で描かれた岩画面が色鮮やかな状態で残っています。テーマのほとんどは宗教的な場面であり、洞窟や岩壁の目立ったところに描かれています。

21,000年前にオーストラリアと海で隔たれられ、競合する哺乳類がいなくなったために原始的な形質を持つ単孔類(肛門と尿生殖器が別れていない哺乳類ex:カモノハシ、タスマニアデビル)が独自の進化を遂げました。

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また、偏西風のもたらす多量の雨によってタスマニア島はオーストラリアの中でも有数の湿潤地帯となっており、亜高山帯の植物やオオタスマニアギスなどゴンドワナ大陸時代から存在する植物が生育しています。他にも樹齢2000年のヒューオン・パインや高さ90mにも達する高木ユーカリなどタスマニア島固有の植物も多いです。

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