目次
小笠原海洋センターって何をしているところ?
小笠原海洋センター、通称「ウミガメセンター」(島の人はもっと省略して「カメセンター」とか「カメセン」とか言ったりもします)。
小笠原海洋センターは、1982年に東京都海洋環境保全協会によって開設されました。以来、特にアオウミガメやザトウクジラなどの海洋生物の生態の研究・解明に尽力し、それぞれの結果は世界的な評価も得ています。
展示館:9:00~16:00まで(12:00~13:30は閉館)。
入港日は13:30~16:00、出港日は9:00~12:00のみの開館。
小笠原海洋センターでウミガメを学ぶ
海洋センターは、ウミガメだけでなく、ザトウクジラの調査も行なっており、クジラ教室もやっています。
館内の水槽では通年250~300頭の子ガメが飼育されており、この子ガメたちは、約半年から1年間育てられた後に放流されます。
その他、1歳~20歳以上の幅広い年齢のアオウミガメや、アカウミガメ、タイマイを飼育しています。
かわいい子ガメたちや、豪快なアカウミガメ「なっちゃん」たちにおやつをあげられる「ウミガメのエサやり体験」がオススメです。
その他にも、実物の子ガメを手に持てる「記念撮影」も人気のプログラムとなっており、飼育されているウミガメに触れながら、ウミガメについて学ぶことができます。
ちなみに毎年7月くらいには、ふ化したばかりのかわいい「稚ガメ(赤ちゃんガメ)」たちが入槽するので、是非見にきてください。
カメセンターの体験プログラム①ウミガメへエサやり(ウミガメのおやつ)
海洋センターで飼育されているウミガメたちへおやつを与えることができます。予約は不要です。
参加料金
オトナガメのおやつ(キャベツ):100円
子ガメのおやつ(シーフード):300円
カメセンターの体験プログラム②ウミガメと記念撮影
海洋センターで飼育されているウミガメを手に持ち、一緒に記念撮影ができます。
参加料金
1頭500円
カメセンターの体験プログラム③ウミガメ教室
夏限定プログラムです。
スライドを使った解説でウミガメの生態や歴史と現状がわかる『ウミガメレクチャー』、スタッフと館内をまわる『水槽案内』、かわいいウミガメたちへの『給餌体験』、本物のウミガメに触れ合える『甲羅磨き体験』に加え、ウミガメの卵を埋める『埋卵(まいらん)体験』が含まれたウミガメづくしの3時間!本物のウミガメの卵に触れられます!
稚ガメ光害対策活動の一環でウミガメの卵に触れたりと、保全活動に直に参加することができ、貴重な体験・思い出にもなります。
さらにタイミングがよければ、前日に砂の上に脱出してきたかわいい稚ガメも触れますよ!
日中に稚ガメと触れ合えるのは、3時間コースのみです!
※産卵・ふ化状況により、プログラム内容やコースを多少変更することがありますのでご了承ください。
- 開催期間:6月後半頃~
- 開催日時:
おがさわら丸入出港日※団体様は別日受入も行っております。お問い合わせください。
【父島入港日】13:30~ (午後1回)
【父島出港日】 8:30~ (午前1回)
【父島着発便】 8:30~ / 13:30~ (午前・午後、各1回) - 参加費:
大人(中学生以上)5,480円(税込)
小人(小学生)3,480円(税込)
※参加者全員に、オリジナルポストカードをプレゼント!(未就学児・団体様は除く)
※船の欠航以外の理由でのキャンセルは、キャンセル料をいただきます。 ※団体様は別途問い合わせください。 - 対 象:乗船券購入と宿泊先をご予約の上、お申し込みください。
※小学生のみの参加はお受けいたしておりません。
※未就学児(幼児)は無料となります。 - 備 考:
前日以降当日のご予約はお電話にてお願いします。
ウミガメの産卵状況により卵が確保できない場合がございます。その場合は2時間コースにてご案内させて頂きます。コース変更が生じた際は、予約日の前日までにご連絡を致します。
現地集合・解散となりますので、交通手段につきましては各自でお願いします。
小笠原海洋センターまでの道順はアクセスをご参照ください。
また、動きやすく、濡れてもよい服装と履物でお越しください。
ご希望・ご都合により、2時間コース(卵に触れる体験は含まれない)をご希望の方は、その旨お知らせください。3時間コースの予約へ
カメセンターの体験プログラム④小ガメの放流
- 開催場所:コペペ海岸もしくは宮之浜海岸
- 開始時間:19:30(19:15受付開始)
- 開催期間:7~9月(※あくまで目安です。期間中でも孵化がなければ開催されません。)
- 参加費:中学生以上:1,500円/1人 小学生:500円/1人 島民(大人1人):500円 小学生未満は無料(小学生以下のみの参加は不可)
- 参加方法:当日、小笠原海洋センターのFacebookページ(https://www.facebook.com/omc.ELNA)に開催有無が記載されます。
- 放流会の時間・場所を確認のうえ、放流会当日に電話で予約。※放流会の有無は、当日決定。
- 連絡先:[8:00~17:00]04998-2-2830 / [17:00以降]090-1461-3171
- 備 考:現地集合・解散となるので、交通手段につきましては各自で調達。尚、夜間子ガメの放流会は夜間(19:30から)なので、村営バスの運行はありません。
その他、お問い合わせはメールにてお気軽にどうぞ。info@bonin-ocean.net
※メールはパソコンからの返信なので、携帯電話をご使用の場合は、受信可能な設定にしてください。
夜のウミガメパトロール
小笠原諸島は、日本最大のアオウミガメの産卵地と言われています。ウミガメの産卵時期には、産卵期にはあらゆる砂浜でウミガメの産卵を見ることができます。ウミガメの産卵がよくみられるのは、大村海岸(通称「前浜」)や扇浦海岸、コペペ海岸、小港海岸などです。海洋センターのウミガメパトロールは、大村海岸でしていることが多いです。産卵の多い時間帯としては、22:00〜2:00頃です。朝4〜6時頃に産卵している個体もあり、朝の光で穴を掘っている様子や産卵の様子がよく見え、撮影も簡単です。
赤いライトを持った海洋センターのウミガメパトロール隊にあったら、ぜひ話しかけてみると、ウミガメの興味深い話をたくさん聞くことができるのでおすすめです。
大村海岸だけでなく、別の場所でウミガメが産卵場所に迷って道路などに出てきてしまっている場合には、海洋センターに連絡が行くこともあるので、ウミガメパトロール隊についていくとほぼ確実にウミガメに会うことができるでしょう。
ウミガメの繁殖シーズン
繁殖シーズンは、主に【交尾期】【産卵期】【ふ化・脱出期】にわけられます。
【交尾期(2~5月)】
オスがメスの背中に乗り、オスの前肢にある爪をメスの甲羅に引っ掛けて交尾します。交尾時期には、水面で2頭が重なりあってプカプカと浮いている様子をうかがえることもあります。この様子は、母島の脇浜に設置されているウミガメ繁殖ゾーンで簡単にみることができます。
オスの特徴は、メスよりも大きく発達した大きな爪と長い尾です。尾の中には生殖器(ペニス)が収納されています。
【産卵期(5~8月)】
5〜8月頃の夜の砂浜に、アオウミガメは産卵のために上陸してきます。上陸した母ガメは、まず自分がすっぽり入るくらいの大きな穴(大穴)を前肢で掘り、次に卵を産み付けるための小さな穴(小穴)を後肢で掘ります。穴の深さは合計すると60センチほどになり、産卵が終わると母ガメは前肢で丁寧に砂を掛けてから海へと帰ります。
産卵は1度きりではなくシーズン中2週間おきに4~5回ほど産卵し、1回の産卵で100個前後の卵を産み落とします。
小笠原のアオウミガメの産卵シーズンは2~4年ほどの間隔で繰り返されます。
【ふ化・脱出期(7~10月)】
産卵後約2か月で子ガメは鼻先にある卵角(らんかく)を使い殻を破って卵から出てきます。これを「ふ化」と言います。
産んだ直後はパンパンだった卵は、子ガメの成長とともに栄養を子ガメが吸収し、シワシワになっていきます。そして、子ガメたちが孵化した時には、砂の中で空間ができます。そして、子ガメたちは全員でモゾモゾと動いて、卵を守るために母ガメが卵の上にかけてくれていた上部の砂を下に落とし、少しずつ地表に向かって上っていきます。
そしてふ化から約4~7日後に、いっせいに砂の中から這い出してきます。これを「脱出」と言い、砂の温度が低くなる日没後に多く見られます。雨などで砂の温度が下がった時にも間違えて脱出してくることがあります。
小笠原で行われているアオウミガメの保護活動
小笠原海洋センターでは、年間200頭もの子ガメを飼育し、放流しています。小笠原で生まれたアオウミガメが、どのように戻ってくるのか、いつころ戻ってくるのかを調査するために、何匹かのアオウミガメの赤ちゃんには、生態識別器が付けられていました。生体識別器には様々な種類があり、小笠原では、インコネルタグ(体外標識)とリビングタグ(永久標識)の二種類を併せて使用しています。
- リビングタグ(永久標識)
2005年から採用された方法で、生まれたてのアオウミガメの背中(黒色)の甲羅とお腹(白色)の甲羅の鱗板を4mm角くらいの大きさで切り取って入れ替えます。
そうすると、黒い背中には白い斑点が、白いお腹には黒い斑点が残ります。
斑点は、どちらももともと自分の生きた細胞なので、成長と共に少しずつ大きくなっていきます。それまでの生体識別では、30〜40年のウミガメの寿命には耐えられず取れてしまい、意味を為していませんでした。
しかし、この標識は個体を識別するためではなく、ふ化した年代を識別するためのものです。年代によって甲羅の鱗板の位置を変えることで、孵化した年代がわかるようにしています。
2006年から2010年まで毎年稚ガメにリビングタグを装着させ放流が行なわれており、これまでに、その小笠原から放流されたリビングタグ個体が三重県や鹿児島県で発見されています。
今後、これらのリビングタグを施されたアオウミガメたちが小笠原に戻ってくれば、小笠原のアオウミガメが実際に何年で親になるか、ヘッドスターティング(短期育成放流プログラム)したカメがどのくらい生き残るかがわかります。
- PITタグ(体内標識)
PITタグは標識番号情報の入ったマイクロチップをガラスコーティングしたもので、シリンジ(注射器)を用いて体内に注入するタイプの標識です。
体外標識と異なり外見上は識別番号の確認ができないため、番号を確認するには専用のハンディ型リーダー(番号読取り機器)が必要となります。
体外標識は脱落するケースが多いですが、体内標識PITタグは、脱落しないため、長期間での観測が可能です。
PITタグは体内に装着されれば特別なことがない限り脱落せず、装着した個体の履歴が途切れることはありませんが、外見上で装着の有無を確認できないため、PITタグと体外標識を併用することでそれぞれの欠点を補うことができます。
体外標識の脱落や標識番号の摩耗などにより、回帰年が特定できない個体でも、PITタグによって履歴のつながることがあります。
- P型タグ
マルチフレックスP型タグ(以下、P型タグ)は一般的に家畜のブタの耳に装着しているプラスチック製の標識で、専用プライヤーのみで容易に装着できます。しかし、文字が読みにくい、装着に手間がかかるなどの欠点がありました。
- インコネルタグ(体外標識)
インコネルタグは金属製の標識で、専用プライヤーのみで容易に装着できます。一年飼育ウミガメのを左前肢の第二鱗板あたり及び左後肢の内側の鱗板周辺に装着します。大村海岸に上陸して卵を産む個体には、産卵中にタグを付け、今後の個体識別に役立てます。
タグによってわかったこと
小笠原の母ガメが約2週間おきに平均4回産卵することや、およそ4年間隔で繁殖海域である小笠原に訪れるということが分かりました。また、初寝浦海岸で上陸を確認したウミガメが、2週間後に宮崎県沖で再捕獲されたことから、1日平均80kmの距離を泳ぐことが分かりました。
孵化率調査
ウミガメが産卵した卵がどれくらいの割合で孵化しているのかを調査する孵化率調査も行っています。正常にふ化した卵、スナガニやアリなどの食害にあった卵、発生途中で死亡した卵などを判別し、孵化率を算出します。スナガニに食べられてしまったものは、中に砂が詰まった状態になっており、蟻に食べられててしまったものは、少しドロドロした状態になっています。孵化しなかった卵を調査することで、どの時点で卵が死んでしまったのかもわかります。
黄身が残ったドロドロした状態は、初期で死亡してしまったことがわかります。また、甲羅ができてきている時点で死んでいるものは中期、卵角までできているが、孵化できずに死んでしまった状態を後期としています。
ウミガメの七不思議
ウミガメは、一生のほとんどを海で過ごし、数も減少しつつあるため、その生態は、よくわかっていないところが多いです。
ウミガメの謎①産卵時期のサイクル
アオウミガメは4年のサイクルで産卵しにやってくると言われていますが、そうとも限らず、1年後にくるやつもいれば、3年で来る個体もいるようです。どういった理由で産卵のサイクルが異なるのでしょうか。この謎はまだ解明されていません。
ウミガメの謎②産卵場所を下見?
産卵場所を下見に来る個体もいるのではないかと言われています。なぜなら、産む場所を探して1時間も彷徨う場合があり、その後穴を掘らず、帰って行く個体がいたからです。
産卵するために上陸してきた場合にも、気に入った産卵場所が見つからないときは、何度も海に帰っては上陸して産卵場所を探すことがよくあります。
アオウミガメの脳はとても小さいのに、本当に下見のためだけに上陸をするということはできるのでしょうか。
ウミガメの謎③ウミガメは生まれた場所でしか卵を産まない?
シャケが、生まれた川に戻ってきて産卵することは有名ですが、ウミガメも生まれた場所に30年経ってから戻ってきて産卵します。
しかし、ここで疑問が。
30〜40年前はあった浜が今は開発や埋め立てされて無くなっていることもたくさんあります。小笠原でも、昔は製氷海岸という場所がありましたが、今は漁猟の関係で埋め立てられ、今はウミガメが産卵するほどの浜はないのです。
では昔に製氷海岸で生まれたウミガメはもう産卵しないのか?ウミガメの生まれた場所って言うのはどの範囲までなのか?
まさかある浜のある木の下で生まれたウミガメがその木の下でしか産まないなんて、そんなピンポイントなわけはないでしょう。
ウミガメセンターの人に聞くと、アオウミガメの場合は、小笠原諸島の島であれば、どこでも産むのだそうです。それくらい広い範囲で生まれ故郷だと認識してくれるのですね。
タイマイの場合は、本当に同じビーチでしか産まないそうです。
ちなみに、ウミガメは、磁気を頼りに生まれ故郷のビーチに戻ってくるそうです。2015年1月15日に『カレント・バイオロジー』誌に発表された論文によると、地磁気が時間とともにゆっくりと変化するのに合わせて、ウミガメの営巣地も移動していくことが明らかになりました。
また、一定規模を保つアオウミガメ産卵地としては、小笠原が北太平洋域での北限となります。最近の遺伝学的研究では、小笠原のアオウミガメは、世界の他の繁殖域では見られない遺伝子型を含むユニークな系群であることが解っており、小笠原諸島は、遺伝学的にもアオウミガメの希少な産卵地となっています。
ウミガメの謎④ウミガメの卵
ウミガメの卵は、産んだ直後は透明感があるのですが、日数が経つごとに上から白くなっていきます。ちょうど14日間で真っ白な色に変わります。真ん中まで白くなった時は産卵後7日間などとわかるため、産卵されて2〜3日の状態の産卵場所を把握しておきます。そして、卵が孵化する頃(産卵から2ヶ月後)にウミガメの卵を保護するために、親ウミガメが産んだ卵を掘り出す作業を行います。ウミガメの卵は、産み落とされてから、2時間で上下が決まると言われています。掘りだした卵は、掘り出したままの上下で発泡スチロールの箱に並べていきます。
卵は、ある程度お腹の中で育った状態で産み落とされます。お腹の中ではその状態で成長がストップしており、産み落とされた後、卵の中の成長が再開するのですが、その成長が再開するタイミングが、産み落とされた時の衝撃なのか、砂の感じなのか、外気に触れるからなのか、まだわかっていないポイントです。
ウミガメの赤ちゃんにはクチバシ(卵角)があり、それを使ってヒナのように殻を割ります。黄身のような栄養がお腹にあり、未熟児だと栄養を吸収仕切れないままの状態で生まれてくることがあり、そういう個体はすぐに死んでしまいます。
ウミガメの謎⑤卵にいるときの温度で性別が変わる
ウミガメの性は、卵にいるときの温度で決まります。
温度が高くなればメスが増えるため、気候変動によって気温や海水温が上昇している昨今、メスの方がわずかに多いだろうと、今回の研究を行った科学者たちは予想していました。ところが実際には、その予想をはるかに上回り、少なくとも116対1の比率でメスの数が圧倒的に勝っていたことが明らかになりました。
またウミガメ以外にも、アリゲーターやイグアナ、一部の魚類など、気温や水温で性が決定する他の生物へのリスクはどうなのかという新たな疑問も湧いてきます。
ウミガメの謎⑥ウミガメの背中でヒッチハイク
アカウミガメ(Caretta caretta)は、世界中の海を数千キロにわたって移動します。しかし、どうやら一人で孤独な旅をするわけではないようです。
ある研究から、アカウミガメの甲羅には驚くほど多様な小さな生きものたちが大勢乗っていることが明らかになりました。
アカウミガメは平均3万4000匹もの小型底生動物(メイオファウナ:体長0.032~1mmの水生底生生物)を背中に乗せており、あるアカウミガメは、線虫、甲殻類の幼生、エビなど、約15万匹もの生物を運んでいたといいます。
ウミガメの謎⑦産卵するときに涙を流す
砂浜に上陸したウミガメは目をうるませています。お産の苦しさから泣いているようにも見え、なんとも同情を誘うものです。私は、目の乾燥を防ぐために涙を流しているのだと思っていたのですが、カメには目蓋もあるようなので、どうやら感想を防ぐための涙では内容です。
実は、この涙のような液体の正体は、塩類腺という器官から出てくる塩水で、体の中の余分な塩分が濾しだされたものなのです。
ウミガメが餌にしている無脊椎動物や海草、海藻は、海水と同様にウミガメの体液の約3倍の塩分濃度があります。そこでウミガメは餌と一緒に余計な塩分まで取ってしまいます。
脊椎動物の体の中では塩分濃度が一定に保たれていて、濃度が高くなりすぎたり低くなりすぎたりすると体を構成している細胞が壊れてしまうので、この余計な塩分を排泄しなければなりません。
ウミガメはこの塩分を濾し出すための「塩類腺」という器官を発達させました。ここから海水の約2倍の濃さの塩水を排泄することができます。ウミガメの塩類腺は涙腺から派生したもので、塩類腺の分泌管の開口部が目尻にあるために、その分泌物が涙のように見えるわけです。塩類腺は、頭蓋骨の中でかなり大きな空間を占めており、オサガメの場合は脳の約2倍もの大きさになります。
他にも塩類腺が備わっている動物がいますが、別の分泌腺から派生しており、ウミヘビやワニの場合には涙ではなくてよだれに、ウミイグアナや海鳥の場合には鼻水になってしまいます。もしウミガメがよだれや鼻水を垂らしながら産卵したなら、これほどまでに愛されなかったのではないでしょうか。自然は時々粋な計らいをするものです。
大群で上陸して産卵するオリーブヒメウミガメ
中央アメリカのコスタリカにあるオスティオナルという町では、オリーブヒメウミガメというウミガメが、大群で産卵をする「アリバダ」という現象があります。
アリバダは始まってから数日続くため、時間に余裕がない人はコスタリカの別の観光地を巡りながら、インスタやツイッターでアリバダ発生の報を受けてから、オスティオナルへ行っても十分間に合うほどです。
アリバダが始まってから特に3日目、4日目のオリーブヒメウミガメの数は物凄いです。
ウミガメを食べてみよう!
謎解きで「ウミガメのスープ」が一時期話題になったことがありましたが、ウミガメの肉自体は海洋国では伝統的に食べられてきました。
小笠原諸島父島でも伝統的にウミガメ漁が行われ、レストランでも食べることができます。小笠原海洋センターの隣の建物で、春になると捕まえたウミガメの解体作業が行われます。ここで解体されたウミガメの肉は、小笠原諸島の父島のレストランやホテルなどで料理して出され、アオウミガメの刺身やレバー、ハツ、ローストビーフなどを食べることができます。
しかし、ウミガメの卵は、茹でて食べることはありますが、「生卵」は日本では食べられていません。しかし、アリバダが発生するコスタリカでは、「生卵」を食べるようです。
ウミガメの卵が食べたい場合は、オスティオナルの村のレストランバーのようなところへ行くと食べることができます。
1杯500コロンで、ウミガメの生の卵にサルサをかけて飲み干します。
店員さん曰く、「噛まずに飲み込め」とのことだったので、サルサの味しかしませんが。
カメの進化について京都大学の講義がYou-Tubeに上がっていました。かなり専門的な話になりますが、とても興味深いです。