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ティリマタンギ島ってどんな島?
北島のオークランドから船で1時間15分の場所にあるティリティリマタンギ島は、かつては牧場として開拓されましたが、自然保護の観点から土地が買い戻され、島全体が野鳥保護区となりました。1日150人の入島制限設けられています。
現在、島内に住人はおらず、DOCのスタッフやボランティアの人々がオークランドから通いながら、島内の整備を行っています。彼らは、ニュージーランド固有種の植物や樹木の植樹を行うほか、鳥の天敵となるイタチやポッサム、ネズミや犬などの動物が島内に持ち込まれないよう厳しく監視しており、鳥たちが繁殖しやすい自然環境の再生を目指しています。
ティリティリマタンギ島への行き方
フェリーは水曜から日曜までの週5日間8:30〜9:00発(オークランド帰着は16:50頃)、1日1往復のみで、所要時間は約1時間15分です。ツアーでも個人でも利用できますが、必ず事前に予約をしておきましょう。
TEL:(09)367-9111
※現地の電話番号になります。日本からおかけの場合は、ニュージーランドへの電話のかけ方をご参照ください。
料金【ティリティリマタンギ島へのフェリー】往復:大人$90、子供$50
ティリティリマタンギ島は絶対にガイドを頼むのがおすすめ
島に到着すると、DOCのスタッフから島の概要と注意事項の説明があり、その後、約2時間半の島内ハイキングがスタートします。
ティティリマタンギ島は小さな島で、正直それほど見どころのある島ではありません。森が育っており、景色もそれほど楽しめません。バードウォッチングが好きな人以外にはおすすめできません。しかし、ニュージーランド固有の鳥を見てみたい!という人にはこれほどおすすめの島はありません。船代とガイド代を含めると100ドルを超えますが、経験豊富なガイドさん1人が5人程度の観光客に着いてくれて鳥を見つけてくれて植物なども紹介してくれるのでとても価値があります。
個人で歩くこともできますが、DOCのスタッフやボランティアガイド(予約)と一緒に歩けば、鳥の話はもちろん、島の歴史や植物の特徴なども教えてもらえるので、とても有意義な時間が過ごせること間違いなしです。ガイドツアーのコースはショートとロング(島の半分近くを2時間半かけて歩く)があり、1,000円ほどの代金は乗船前のフェリーチケット購入時に支払います。
船代95ドルは高いですが、ガイド料も含めて105ドルは高くないと感じました。運が良ければ日本人のガイドさん「Yukiさん」がガイドしてくれます。ボランティア歴15年で青い頬が特徴的なニュージーランドの固有種Kokakoの保護を主にされていらっしゃいます。どのように鳥を保護しているのかということも教えてくれ、大変興味深い話をたくさん聞くことができました。
ティリティリマタンギ島がすごい理由
これまで私はウェリントンにあるサムズ島やカピティ島などでたくさんの鳥を見てきました。そこではティティリマタンギ島と同じ鳥も見ることができました。ティリティリマタンギでは、ニュージーランドで5箇所しか見ることのできないスティッチバードをよく見かけることができます。「ジージー」という鳴き声で、ミシンの音に似ていることから名前がつけられたそうです。この島で育った鳥をニュージーランド各地へ連れて行き、さらに繁殖を図っているそうです。他にもファンテイル、ベルバード、トゥイ、コカコ、ホワイトヘッド、ロビン、そしてモアポーク(フクロウ!)も見ることができました。ここにはキウィも生息しているそうで、ハットに泊まれば夜行性であるキウイも見る機会があります。鳥以外にもジャイアントウェタやトゥアタラも生息しており、ティリティリマタンギ島にはあらゆる生物が生息していると言っても過言ではありません。ティリティリマタンギ島はニュージーランドで最大の都市オークランドからほど近く、海も綺麗でこれは日本では考えられないことだと思いました。
ティリティリマタンギの観光スポット
島には約80種類の野鳥が生息しており、森の中で目を閉じると、あちこちから鳥たちの歌声が聞こえてきます。DOCのスタッフから島の概要と注意事項の説明の後、トレーラーに荷物を預けることができ、最終地点である灯台まで荷物を運んでくれます。お弁当などはトレーラーに預けておいてもいいかもしれません。トラックはかなり緩いですが、体力に全く自信のない方には嬉しいサービスです。
ティリティリマタンギの観光スポット①灯台
港から歩いて1時間程度のところに、根本が赤く本体が白い美しい灯台が立っており、ガイドウォークのゴール地点となっています。
灯台の隣の建物からの景色も素晴らしいのでぜひ階段を登ってみてください。DOCのオフィス兼ショップもあり、鳥のグッズや野鳥図鑑などが販売されています。コーヒーや紅茶は無料でサービスされていますが、食べものは販売されていませんので、船の売店で購入するか、ピクニックランチを持参しましょう。
※靴は歩きやすい靴ならOK。コースは整備されているので登山靴は不要。 ※急な雨対策にレインジャケットがあれば便利。
灯台の付近には、絶滅危惧種のタカへがいますのでお見逃しなく。赤い嘴と青と緑の羽を持つカラフルな鳥で、地面をのんびりと歩きまわっています。タカへは、国鳥のキーウィと同じく、翼が退化した飛べない鳥です。そのため、開拓時代にヨーロッパ人がニュージーランドに持ち込んだ哺乳動物によって捕食され、個体数が激減してしまいました。一時は絶滅したと考えられていましたが、1948年に少数の生き残りが発見され、その後は国を挙げて繁殖のための保護活動が行われています。
ニュージーランド国内でも、檻や金網を挟まずにタカへを間近で見られる場所は、この島をのぞいてほとんどありません。ぜひじっくり観察してみましょう。
ティリティリマタンギの観光スポット②餌やりスポット
トラックの所々に餌やりスポットがあり、ここで花の蜜を主食にしている鳥たちのために蜜をあげています。夏は、鳥たちも自然から蜜を食べることは容易なのでそれほどたくさんはあげないそうですが、冬はタンクいっぱいに蜜を入れていても半日でなくなることがあるそうです。トゥイやベルバード、ファンテールやロビンなどの鳥たちを間近で観察できるチャンスもあります。餌台は、絶好の野鳥撮影スポットにもなっています。
ティリティリマタンギの観光スポット③捕食者を捕らえる犬
ごくたまに島に鳥たちを食べてしまうイタチやネズミなどが船に乗ってきたりしまうことがあり、目撃があった際にはそういった侵略者を捕らえるために犬を使って捕食者を捕らえています。
ティリティリマタンギの観光スポット④ブルーペンギンの巣
またフェリー乗り場から少し歩いたところでは、ブルーペンギンの巣があり、木のふたを外すと中の様子を観察できるようになっています。
ニュージーランドの人々が入島制限を設けてまで野鳥保護区を造る背景には、人間のせいで、この国固有の生態系を壊滅的な状況にしてしまったという深い反省があります。ティリティリマタンギの森に響き渡る鳥たちの歌声からは、野鳥たちを守ろうとする人々の熱い思いが感じられますし、その思いが着実に形になっていることが伝わってきます。