もし離島で地震にあったら〜津波のリスクを考える〜

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東日本大震災による日本の津波による被害は10年経った今でも多くの人の記憶に残り、東北の復興は原子力発電所の被災の影響もあり、今なお復興作業は遅々として災害の爪痕が残されているところも少なくありません。

2021年には、小笠原諸島南沖の福徳岡の場で噴火が起き、全国的に軽石の被害が出ました。また、鹿児島県の悪石島では100回を超える揺れが観測されました。

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2022年1月9日には、小笠原諸島母島で震度5強の地震が発生し、2022年1月15日にはトンガ沖で大規模な火山の噴火が起き、日本の太平洋側ほぼ全域に津波警報・注意報が発令され、南海トラフが近づいている恐怖を感じている人も多いことでしょう。

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1993年の北海道南西沖地震では、地震後数分で大きな津波が発生し、奥尻島が更地になるほどの被害を受け、奥尻島の人口の4 %にあたる198人が死亡しました。津波にさらわれた奥尻島の「賽の河原」には、津波の被害者を偲ぶように石が積まれていました。

https://www.instagram.com/p/CCUZ-OvpJ5l/

奥尻島のスナックで当時の話を聞く機会をいただいたのですが、「奥尻島で起こったことを東北大震災では活かせなかったんだなぁ…。奥尻島はすぐに津波が来たから、大事なものも何も持たずに逃げたから助かった。家も店も全部流された。東北大震災では津波が来るまで時間があったのに、どうして逃げなかったんだろう」と悲痛な顔でお話してくださいました。

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海岸沿いの町はもちろん、360度を海に囲まれている離島でもし地震にあったら、津波がきたら、自分や家族の身を守るためにはどうすればいいのでしょうか。

目次

離島特性と災害・防災

https://ritokei.com/voice/21071

離島の災害時の特徴として、「隔絶」「真離島」「狭小」「環海」の4つがあげられています。

離島の災害特性①「環海」

離島の場合、周囲を海に囲まれている「環海」の特性から、津波は多方向から来ます。気仙沼湾に挟まれた気仙沼大島(けせんぬまおおしま|宮城県)の唐桑半島側では、東日本大震災時に、湾内で複雑に変動して50回もの海面上下動がありました。

離島は、震源地からの直撃を受けやすく、島特有の海底地形や湾入(海が弓なりに陸地に入り込んで、湾や入り江を形成している地形)等があれば、水位(海面)がかさ高になりやすいです。また、流体力学(ベルヌーイの法則等)に従い、速度や水量変化を引き起こし、渦やすり抜け(周囲が深い場合は遡上しない)が起き、被害も増大すると考えられています。満潮・低気圧でも海面は上がりやすいです。

離島の災害特性②「狭小」

離島は沖縄のように内陸部に大きければ、避難所などを開設することができますが、小さな離島だと十分な広さや設備のある避難所を開設することが困難な場合があります。被災後に人口が激減した離島もあり、背景には、集落壊滅に加えて、学校が廃校になってしまったことによる影響も考えられます。島が大きければ避難所は島に設置できたはずですが、小さな島では、避難所が内地に設置されることがあり、島へ帰る度に、壊れた屋根や荒れた畑の手当てをしても、また住めるようにまで復興するには長い月日がかかるということもありました。

https://ritokei.com/voice/21071

しかし、「狭小」は必ずしも悪いことではなく、家族同士が別れ別れになりにくいということもあります。またまた、島民は元々知り合いであることが多いので、知り合い同士で共助しやすいという良い面もあります。

離島の災害特性③「隔絶」

災害後に最も重視すべきなのは、「隔絶」という特性でしょう。津波により港が破壊された場合、物流がストップする可能性が高いです。食料やトイレットペーパーや生理用品などの生活必要物品が手に入りにくくなる可能性もあります。

津波のメカニズム

地震が起きると、震源付近では地面が持ち上げられたり、押し下げられたりします。地震が海域で発生し、震源が海底下の浅いところにあると、海底面の上下の変化は、海底から海面までの海水全体を動かし、海面も上下に変化します。このようにもたらされた海水の変化が周りに波として広がっていく現象のことを津波といいます。海底から海面までの海水全体が短時間に変動し、それが周囲に波として広がって行くため、波長は数キロから数百キロメートルと非常に長いものです。このため津波は勢いが衰えずに連続して押し寄せ、沿岸での津波の高さ以上の標高まで駆け上がります。しかも、浅い海岸付近に来ると波の高さが急激に高くなる特徴があります。また、津波が引く場合も強い力で長時間にわたり引き続けるため、破壊した家屋などの漂流物を一気に海中に引き込みます。

津波の観測方法
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq26.html

津波の高さと言われているものは、津波自身の高さ(海岸の波打ち際での高さ)だけでなく、津波が陸に駆け上がった際の最大到達高度(遡上高)もあります。昔は、海岸の波打ち際での高さを観測することができなかったので、津波の高さというと遡上高でした。

遡上高は、津波の高さと同程度から、高い場合には4倍程度までになることが知られています。つまり、10mの津波が来る、と報道があったときには、10m以上の高さではなく、最大4倍になる可能性があることを踏まえ、標高40m以上の高さにまで避難する必要があるということです。

東日本大震災時の津波の遡上高は、40メートル以上、観測史上最大の津波でした。

津波の高さによる被害の違い

津波はたった30cmでも死亡者が出るという記録があります。津波は、引く力が大きいため、30cmという子どもの膝が浸かる程度の高さでも動けなくなり、避難行動が取れなくなります。60cmでは、車も流され、1mという大人の腰が浸かる程度の高さの津波に巻き込まれると、ほとんどの人が亡くなります。

資料提供:東京新聞
島に到達した津波の高さ

東日本大震災時には、東北地方の離島(大島、出島など)でも大きな津波が観測され、死亡者も出ています。

年月日場所震度マグニチュード津波の高さ
1993.7.12奥尻島(北海道)6以上7.829m
1771.4.24八重山諸島及び宮古諸島(沖縄)不明7.4不明(1万人近い死者)
1995.10.18奄美大島近海(鹿児島)56.912~24cm
1960.5.24奄美大島(鹿児島)(チリ地震津波)4.4m

宮古島東平安名岬に点在する大きな岩群は、津波によって運ばれたものである可能性があります。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000331718.pdf

津波が発生したときに助かる方法

https://www.instagram.com/p/CYyUq7-PgQb/
津波から助かる方法①大きな揺れを感じた時点で避難

津波が発生したとき、といういうよりは津波に襲われる可能性のある場所にいるときには、大きな揺れを感じた時点で少しでも高いところに避難することが重要です。

津波が発生するかどうかの報道を待っていると、逃げ遅れる可能性があります。離島は特に津波や地震を観測する計器が十分でない可能性があり、報道が遅れます。実際2022年の母島で発生した地震は、地震中にスマホの震災アラームが鳴り、地震直後の情報では震源地も間違っており、津波の情報は一切ありませんでした。津波の心配がないと報道されたのは地震から7分後のことでした。

津波から助かる方法②津波てんでんこ

この教えを守った岩手県釜石市の児童・生徒の99.8%が助かった話から、「釜石の奇跡」として広く知られるようになりました。「てんでんこ」とは方言で「各自」「それぞれ」といった意味。「津波がきたら各自で逃げなさい」ということになります。もっと詳細にいうと海岸付近で地震を感じたときは津波から身を守ることをまっ先に考え、誰の指示も待たず自分で判断し、家族にすら構わず、各自で一刻も早くできる限りの高台に逃げ自分で自分を守りなさいというものです。

  • 自分で危機を感じ取り行動する
  • 早く高台へ
  • 家族のことも構わない

指示も待たず、家族を構わないなんて、と思われるかもしれません。しかし先の大震災では、家族を想うあまりに海沿いに戻ったり、津波の専門家とはいえない学校や会社の指示を優先にしたことで被害に遭われた命は実際たくさんあり、その逆に「津波てんでんこ」で守られた命も多くあったのです。緊急時には、それぞれの状況の中でベストを尽くして身を守ること。大切な人とは、非常時にはお互いにまず自分の身を守る約束や、電話が繋がらないときの待ち合わせ場所などについて前もって話をしておくのもひとつです。

津波から助かる方法③何かにしがみつく
https://www9.nhk.or.jp/archives/311shogen/summary/evi/01/

万が一、津波に巻き込まれてしまったときには何かにしがみつくほかありません。そのまま流されてしまうと、引き波で海まで流され、息もできず何かにぶつかったりして命を落としてしまいます。

津波に巻き込まれたが、助かったという人は、電線や畳、プラスチックケースなど固定されているもの、浮くものにしがみついて助かっています。津波に巻き込まれないということが最も大切ですが、万が一津波に襲われてしまったときには、何かに命を託してしがみつくほかありません。

津波から助かる方法④正しい情報を手に入れる

災害時には、さまざまな情報が交錯し、謝った情報に翻弄されることもあるかもしれません。正しい情報を手に入れ、正しい知識で命を守る行動を取らなければ咄嗟の行動ひとつで命運が分かれるということも今後の南海トラフ地震ではあり得ます。

正しい知識は上で述べたとおりですが、正しい情報を少しでも早く手に入れるためには、「NERV防災」のアプリがおすすめです。「新世紀エヴァンゲリオン」の特務機関をイメージして作られたそうです。他の報道が出した情報よりも早く、そして正確な情報を得ることができます。また、アクセス過多でシステムがダウンしないように配慮されており、アプリのリリースから3か月で40万回以上を記録しています。

津波から助かる方法⑤津波の知識を学んでおく
みんなの津波避難22のルール 3つのSで生き残れ!

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津波がどんなものなのか、津波に備える知識を学んでおくと、未知のものへの恐怖は克服することができます。震災に備えた防災グッズを常日頃から準備しておくことも大切ですが、知識も大切です。いざというときに、咄嗟に正しい判断ができるように、津波避難についての知識を学んでおきましょう。

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