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核燃料社会が直面する核ゴミ問題

原発が稼働する限り、核のごみは生まれ続けます。日本ではこれを「ごみ」ではなく「資源」として扱い、すべて再処理する方針(核燃料サイクル)を掲げています。しかし、再処理施設の完成は遅れ、処分の見通しも立たないまま、核のごみは増え続けています。
現在、地下300メートルより深い地層に埋めて処分する「地層処分」が国際的な標準とされていますが、日本では最終処分地が未定のままとなっています。
第二次世界大戦で広島と長崎に落とされた原子爆弾、2011年に発生した東日本大震災で被災した原発で、日本は核の恐ろしさを身をもって知ったはずなのに、「脱原発」を謳っていたはずなのに、いつの間にか「原発イケイケGOGO」になっていませんか?

原子力市民委員会というサイトでは、現在の核ゴミ(核廃棄物)の現状をわかりやすく説明してくれています。

小笠原諸島の核ゴミ問題
核のゴミ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定を巡り、国は東京都小笠原村の南鳥島を候補地とする「文献調査」の申し入れを行いました 。村民の不安や合意形成が課題となる中、村長は国が実施を判断するならば受け入れる意向を示しています。

<南鳥島での調査の経緯と現状>

- 国の動き:経済産業省が、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に向けた第1段階の「文献調査」を小笠原村に申し入れました。
- 島の状況:対象となる南鳥島は、都心から南東約1900kmにある周囲約7.6kmの島です。全島が国有地で一般の住民はおらず、自衛隊員や気象庁などの職員が常駐しています。
- 村の対応:小笠原村の渋谷正昭村長は、「国が実施を判断するのであればその判断は受け入れる」として、事実上の実施容認の姿勢を示しました。一方、村民からは調査に伴う交付金の受け取り拒否を求める請願書が議会に出されるなど、賛否や懸念の声が挙がっています。 交付金を受け取ってしまえば、今後不利な検査結果や条件でも飲み込まざるを得なくなってしまうからです。
- 核ゴミマネー辞退派:請願書では「初期段階で多額の交付金を受け取ることは、本来全国で向き合うべきエネルギー政策や核廃棄物の問題を、交付金を受け取る地域だけの問題にしてしまうおそれがある」と問題を矮小化する可能性を指摘。「受け取らないことは、この課題を国全体で考えるべきだという姿勢を示すことにつながる」と訴え、村として受け取らない方針を表明することを求めています。
<なぜ南鳥島が候補に挙がったのか>

- 適地としての条件:周辺に火山や活断層がなく地質が安定している可能性があること、また住民がいないため地元合意(風評被害など)の課題をクリアしやすい点が国にとって有利とされています。
- 輸送コストと立地:本土から船で4〜5日かかる距離にあるため、建設資材や核ゴミの輸送コスト・安全性が大きな課題です。
<小笠原諸島とはどういう場所なのか>
小笠原諸島は、東京の竹芝港から南へ1000km離れたところにある島で、ユネスコの世界自然遺産にも登録されている島です。世界でここにしか見ることのできない植物やカタツムリ、コウモリ、鳥などが数多く生息しており、かけがえのない人類の宝です。小笠原諸島の海域にはたくさんの鯨類が生息し、自然豊かな地球最後の楽園とも言える場所です。
そんな世界の宝物である美しい場所に、私たちが便利な生活を享受するために排出した核ごみを廃棄していいのでしょうか?原子力発電に伴って発生する「高レベル放射性廃棄物」(核のゴミ)は、放射能レベルが人体に無害な程度に下がるまでに約10万年かかると言われており、今後この地に廃棄した核ごみが自然環境にどう影響するか誰にもわからないのです。
核のゴミ(高レベル放射性廃棄物)とは
原発で使い終わった核燃料から、再利用できるウランやプルトニウムを取り出した後に残る廃液を、高温のガラスと混ぜてステンレス容器に冷やし固めたものが、最終的な核廃棄物の形です。
これは、1本(約500キロ)あたりの放射線量が非常に高く、人間が近づくと短時間で死亡するレベルです。この危険な状態が約10万年続くため、人間の生活環境から完全に隔離する必要があります。
<現在の課題と議論>
現在は、全国の原発敷地内などにあるプールや施設で一時保管(中間貯蔵)されています。ヨーロッパのフィンランドやスウェーデンでは数十年におよぶ議論の末、地層処分地の建設や着工が進められていますが、日本では候補地選びが難航しています。

<日本における処分地選定のプロセス>
日本原子力発電環境整備機構(NUMO)が中心となり、全国の自治体を対象に処分場選定のための調査が進められています。選定プロセスは以下の3段階で行われます。
- 文献調査: 地図や文献などを用いて、その土地が地層処分に適しているか調べる調査。
- 概要調査: 文献調査を通過した場合、ボーリング(穴を掘る)などを行い、地質や地盤の状況を確認する調査。
- 精密調査: 地下に施設を実際に建設し、岩盤や地下水の状況を詳しく調べる最終調査。
調査を受け入れた自治体には、国から最大で数十億円規模の交付金が支給される仕組みがありますが、地震リスクや環境汚染への懸念から反対意見も根強く、候補地の確保が最大の課題となっています。
世界で最も美しい場所が世界で最も危険なもので汚染される世界でいいのか

私が指摘したいのは、放射線量の高い危険物質を廃棄する、という点だけではありません。南鳥島は絶滅危惧種の鳥類や固有の海洋生態系が残る貴重な環境であり、地層処分場の建設に伴う大規模な開発には、深刻な環境破壊が行われてしまうのです。
①膨大な「掘削土(ズリ)」による環境破壊

地下300m以上に数km規模の広大なトンネルを掘るため、数百万トンにおよぶ大量の土砂(ズリ)や岩石が地上に運び出されます。大雨や台風の際、積み上がった土砂や泥水が周囲の海に流れ込めば、透明度の高い美しい海を濁らせ、サンゴ礁を死滅させる原因になります。
②生態系への甚大なストレス(鳥類やウミガメ)

南鳥島は、国内では極めて希少な海鳥(クロアシアホウドリなど)の集団繁殖地であり、アオウミガメの産卵地でもあります。工事用車両や掘削機の激しい騒音・振動は、非常に神経質な野生の鳥たちの繁殖活動を妨げ、島から追い出してしまう恐れがあります。また、24時間体制の工事による強い夜間照明は、夜間に孵化して海を目指すウミガメの赤ちゃんを惑わせ、命を奪う原因になります。
③深層地下水の湧出と水質汚染
地下深くまで掘り進めると、大量の地下水(塩水)が坑内に湧き出てきます。掘削時には岩石の成分や工事用化学薬品が混ざった排水が出ます。これを完全に浄化して海へ戻さなければ、周辺海域の化学的な汚染を引き起こし、豊かな漁場や生態系を破壊します。
④輸送ルート(港湾建設)による沿岸破壊
資機材や将来的な廃棄物を運び込むため、大型船が接岸できる大規模な港や接岸施設を新たに建設する必要があります。港を作るために周辺のサンゴ礁を爆破・浚渫(しゅんせつ)することになり、沿岸の海の生態系に直接的かつ取り返しのつかないダメージを与えます。
今私たちができること

何も国だけが悪者ではありません。原発で作られた電力を受給して、豊かな便利な暮らしを手に入れているのは他ならぬ私たちなのです。ゴミを減らし、消費電力を減らし、少しでも環境に配慮した暮らしをしていくことが今の私たちにできることです。日々の積み重ねは小さくても、私たち一人一人が意識して続ければそれは大きなことに変わっていきます。
核ゴミ問題に関心を持ち、この記事を読んでくれた方は、核ゴミについて知るということでそれはすでに環境問題に取り組んでいると言えます。そういった心の持ち方一つで変わることもあると私は考えています。