小笠原諸島は、世界自然遺産に登録されており、保護すべき貴重な動植物がたくさんいるため、その自然を壊さないよう講習を受けた人と一緒でないと入ることができない保護区が多数存在します。小笠原の一般国有林の99%以上が森林生態系保護地域に指定されています。その講習は林野庁が行っており、その講習を受講すると、保護区に入る許可を得ることができ、「入林パス」がもらえます。
*小笠原に住所がある村民のみがその講習を受けることができ、小笠原に住所がない観光で訪れる方は、「入林パス」を取得することができません

「入林パス」は、正式名称を「森林生態系保護地域入林年間パス」と言い、毎年1月になると「村民だより」に入林パスを取得するための講習の受講希望者を募る記事が出ます。

本来であれば、1時間程度の講習を受けた後で発行されるのですが、コロナ禍では、配布された資料に目を通し、保護地域に関する穴埋めのアンケートに回答し、提出すれば入林パスが発行される仕組みになっています。期限は2年間です。
村民以外は、「希少動植物調査等を行う研究者、行政機関が行う事業者の従事者(18歳以上)」が対象です。
問い合わせ先: 関東森林管理局 計画課 自然遺産保全調整官
入林パスがないと入れないルート
植生保護やその地域で繁殖するアカガシラカラスバトやオガサワラノスリのため、入ることができる時期が決められている保護地域もあります。
- 躑躅山(5〜10月)
- 衝立山
- 朝立山(5〜12月)
- 赤旗山(7〜12月)
- 時雨山(7〜12月)
- 夜明山
- 野羊山(やぎゅうさん)
- 傘山
- 東平アカガシラカラスバトサンクチュアリ
- 高山
- ジョンビーチ
- ブタ海岸
- 中山峠
- 千尋岩(ハートロック)
- 西海岸
- ムスタング
- ロラン展望台
- 堺ヶ岳(母島)
入林パス以外の講習が必要なルート

下にあげた場所は、「入林パス」だけでなく、特別な許可を受けたガイドの同伴がないと入ることができません。小笠原の保護地域は、厳正な保護区域である「保存地区(コアゾーン)」と、生活圏とコアゾーンの緩衝帯である「保全利用地区(バッファーゾーン)」の2重構造で区分されています。白神山地などの通常の森林生態系保護地域は、保護上重要な地域を核心部としてコアゾーンにし、その周りを取り囲むようにバッファーゾーンをつくられています。しかし、この方法は、世界で唯一の固有植物種群落が、生活域のすぐそばでさえ確認されているなど、島全域で固有の生態系を形づくっているこの島々に対する設定方法としては、適切ではありませんでした。そこで、NACS-J(日本自然保護協会)はまず国有林の全域をコアゾーンと考え、そのうち生活圏に接する部分や森林以外(砂浜など)だけをバッファーゾーンにし、森林生態系保護地域の95%をコアゾーンに指定されました。
- 東平アカガシラカラスバトサンクチュアリ ルート2(バッファーゾーン)( 4〜10月)
- 南島(2〜10月)
- 石門(母島)(3月~9月(3月は一部ルートのみ利用可))
ちなみに、バッファーゾーンへ入ることができる講習会を受けられるのは、①指定ルートをガイドおよび環境教育指導者として利用する人②①を受講した人、または小笠原エコツーリズム協議会登録ガイド(陸域ガイド)の人で東平アカガシラカラスバトサンクチュアリーの林内歩道2をガイドおよび環境教育指導者として利用する人 です。